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2025年3月29日 (土)

海と建築のあいだで  大阪府立青少年海洋センター

海と建築のあいだで  大阪府立青少年海洋センター

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海沿いの道を進むと、不意に視界が開ける。訪れるまで、坂倉建築研究所の設計だとは知らなかった。

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大阪府立青少年海洋センターは、大阪湾を望む岬の先に、驚くほど静かに建っていた。
まず心を奪われたのは、建物そのものよりも、海と空に溶け込む佇まいだった。

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近づくにつれ、水平線と呼応するように伸びる低層のボリュームが見えてくる。

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派手さはなく、むしろ控えめだ。

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けれど、その抑制の効いた輪郭が、周囲の風景をいっそう際立たせている。

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ここでは建築が主役になることを、意図的に避けているように思えた。

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内部を歩くと、外との距離の近さに気づく。
大きな開口部から入り込む光、窓を抜ける風、遠くで重なる波の音。

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建物の中にいながら、常に海の存在を感じさせる。

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廊下を進むたび、視線の先に現れる風景が少しずつ変わり、

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歩く行為そのものが体験として組み込まれている。

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動線は明快で迷いがなく、それでいて息苦しさがない。

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教育施設でありながら、どこか余白を大切にしている。

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その余白が、訪れる者の記憶や感情を静かに受け止めてくれる。

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高度経済成長期に生まれた建築であることを思うと、この穏やかさはなおさら印象深い。

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自然と向き合い、集団生活を通して学ぶという理念が、今も建物の隅々に残っている。

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岬の先で海を眺めながら、建築とは何かを改めて考えさせられた。

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風景を支配するのではなく、そっと寄り添うこと。

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その姿勢こそが、この場所のいちばんの魅力なのだと思う。

2025.03.29
大阪府 大阪府立青少年海洋センター

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